除電器からも静電気が発生する?
静電気を除去する道具である除電器(またはイオナイザー)が静電気を起こすというと読者は一瞬、耳を疑うかもしれませんが、実は本当なのです。
除電器で品質の悪いイオンをかけると、静電気が発生します。品質の悪いイオンとは、イオンバランスの悪いイオンのことです。除電器による静電気は、実際、大なり小なり発生している現象ですが、一般的には知られていません。 たとえば、よく使われている交流式(AC)除電器では、通常±13V(ボルト)、50/60Hz(ヘルツ)のイオンバランスの脈動が発生し、除電しようとしている対象物をAC13V、50/60Hzに帯電させています。「まさか」と思うかも知れませんが本当です。 また、パルス式除電器(パルスAC式イオナイザー、パルスDC式イオナイザー)では、対象物を±500V以上に帯電させることもあるので要注意です。パルス式除電器の場合はイオンバランスが桁違いに悪いものです。とくに半導体などの電子部品を用いた対象物(電子回路基板や液晶ディスプレイなど)の除電をする際にパルス式除電器を至近距離で用いると、半導体が破壊sれる危険があり、注意が必要です。 では、なぜそのような危険なことが起きてしまうのでしょうか。理由は簡単です。パルス式除電器では交互にプラスとマイナスのイオンがふりかけられるので、除電しようとする対象物もプラスとマイナスに帯電させられてしまうからです。その周波数は約0.1Hzから30Hzですから、結果的に対象物を±500V、0.1〜30HZに帯電してしまうわけです。 一方、直流式(DC)除電器では、イオンバランスは交流式やパルス式のように変化または脈動は起こりません。ただし、イオンバラんンスは場所により変化しやすいため、適切な場所で用いれば、±1〜3V程度に低くすることができます。したがって、脆弱な電子部品を高精度に除電するには、このDC型が最適と言えるでしょう。