液晶テレビ
いまや、テレビの主力はブラウン管から、液晶方式へとうつりました。なんといっても、液晶テレビの魅力は、薄型・軽量化が可能なことです。一般に、自然界に存在する物質は、物質の温度を上げると、個体、液体、気体の順に3つの状態をとります。ところが、ある種の物質では、固体結晶が融けて液体になる前に、固体結晶や液体のいずれとも異なる中間の状態をとる場合があります。それが、液晶です。
液晶は、結晶のように分子が規則正しく並んでいるわけではありませんが、まったく不規則になっている液体に比べると、その加える電界の方向によって固体結晶のように、異なった効果を示す異方性をもちます。流動性と言う液体の特性と、光学的異方性と言う結晶の特性とを兼ね備えている点で、液晶はきわめて特異な存在です。
ネマティック液晶が主流
液晶パネルに使用されている液晶は、ほとんどがネマティック液晶と呼ばれるものです。細長い分子が長軸の方向をそろえて配列され、その配向方向が位置とともに連続的に変化している構造の液晶です。ネマティック液晶は配向方向、つまり分子1つ1つの向きは秩序だった動きをしますが、おのおのの位置は無秩序になっています。
一般に長軸方向と電界による誘電的性質および光学的性質とが密接に関連しています。
液晶パネルにおいては、その誘導的性質が、配向方向と電圧との組み合わせで決まる駆動動作に用いられ、光学的性質は配向方向と偏光板との組み合わせからきまる表示動作に用いられます。このように電界による誘導的性質と光学的性質とを組み合わせて適切な表示をするために、液晶パネルでは、ガラスなどの基板に透明な、細かい電極を設け、液晶材料の配向方向をその電極間に与える電圧によって制御し、各電圧での配向方向と屈折率の関係から必要な表示をさせています。簡単にいうと、液晶テレビの心臓部にあたる液晶分子の向きを静電気によってコントロールしているのです。
ブルー相液晶に注目
液晶パネルに用いられる他の液晶材としては、強誘電性液晶やブルー相液晶などがあります。どちらもネマテック液晶と比較して高速な応答を実現する事ができます。とくにブルー相液晶は、応答速度が10〜100μs(1μs=100万の1秒)と速く、暗状態での視野角依存性がありません。配向膜や配向処理や視野角保障のための光学フィルムが不要なためパネルを薄く、低コストでつくることができます。
マイクロミラー
超小型のミラーを集積したもので、レーザーなどの光源から細いビームを反射して、映像を作ったり光信号制御を行います。ミラーの下にある電極に電圧を印加して、ミラーの角度をかえ、光の進む方向をかえます。静電気引力/斥力を用いた光制御デバイスで、液晶が光を透過させるのに対し、マイクロミラーは光を反射させるため、光の内部損失が少なく、発熱も少ないため高輝度に対応できるメリットがあります。